白いシャツに細身の黒のパンツ

2011.05.06

白いシャツに細身の黒のパンツ、踵の高いミュールをはいて、大理石の床をきびきびと歩き召使に指図する彼女。夜にはあのタフタのスカートをはいて食事に出かける。スカートの奥には、少しだけ肉の緩んだ太股が、ごく薄い黒のストッキングに包まれている。とがった鎖骨の胸元に、ダイヤモンドのネックレス。しかも香水は「ジェム」とかパコ・ラバンヌの「メタル」あたりのクールなシプレ系。そんなふうに思い描けるほど、そこに選ばれた白と黒の服にはひとつのスタイルがあり、一本筋の通った意志が感じられた。それは私に、二十代の初めの頃に出会ったあるひとのことを思い出させたのだった。その人は、会社の上司の友人で、仲間内からも特別おしゃれだといわれているような存在だった。