イタリアとは、こういう国

2011.06.06

日本にいた頃は、むしろ紺嫌いでした。あまりにもカチッとしすぎて、どこかの制服みたい。身につけると、決まって「山奥から上京したてのおネエちゃん」になる私でした。オーバーな表現でもなんでもなく、紺の服は一枚も持っていなかったのです。ところがイタリア人を見ていると、紺色の扱いがなんとも上手。トラディショナルだけれど、これにカラフルなスカーフをあしらったり、フェミニンなホワイトブラウスを持ってきたり。ボタンもよく考えられています。同色の紺ボタンなどつけるのではなく、大きめのゴールド、ないしはパールあしらいのボタン。これだったら決して「ユニフォーム」には見えません。私もイタリア流の紺づかいにすっかり魅せられ、スーツ、ジャケット、パンタロンはもとより、ニットやTシャツまで紺揃え。紺の服作りに強いと言われるダッチやマックス・マーラ、フェレ、フェラガモなどのコレクション写真を眺めつつ、私なりに「紺のお勉強」をしています。意外な発見は、紺に濃い目のベージュが合うということ。ある目、うちに遊びに来ていた近所の女性に嘆いたことが始まりです。「困っちゃったのよね。近々、日木に帰るんだけど、フォーマルな服がないの。紺の衿なしジャケットはあるけど、ぴったりのブラウスを持っていないの。買うお金もないし……」すると彼女は、「ないってことないでしょ。持ち合わせのブラウスの中に必ず合うのがあるはずよ。どれどれ、私がコーディネートしてあげる」と言い、濃いベージュのシルクブラウスを選んでくれたのです。考えもつかなかった組み合わせに一瞬ドキリ。ちょっと、妙じゃない、と尻込みしたものです。「そんなことないって。絶対にシャレてる。堂々と身につけなくちゃ」彼女の言葉に励まされ、帰国後、不安ながらも着用しました。すると、「違うわね、いかにもミラノモードつていう感じのコーディネート」「そういう色の組み合わせ、日本じゃ考えられない。いかにもおしゃれって感じ」から始まって、「あなた、昔は・黒ばかり着てたじゃない。他の色には見向きもしなかったくせに、こんなコーディネーションができるとはリッパ」などと驚かれる始末。鋭い友人ともなると、「それ、誰が考えたの?まさか、あなたのセンスじゃないでしょ」ちゃんとお見通しなのでした。さてそれで、ミラノのマダムのお店ではどうしたの?なにか買ったかって?はい、買いました。ウールとコットン混紡のオフホワイトの半袖プルオーバー。これ以上シンプルなデザインはない、というくらいオーソドックスなデザインです。マダムとお話ししているうちに、彼女の「白、紺、ベージュ」説に心酔したのでしょう。迷わず選んだ一枚です。バーゲンシーズンは終わった時期だったのに、「いいわ、半額でよろしいですわ」ミラノの街のどまん中のお店で、お茶をごちそうになり、おしゃれのアドバイスを受け、さらにディスカウントまでしてもらえるとは。イタリアとは、こういう国なのです。