清少納言の『枕草子』には、“見苦しきもの”という段にこんな一節がある。「色黒で憎らしげな女がカツラをつけているのと、聚だらけの貧相な痩せぎすの男か、夏、昼寝しているのは実に見苦しい。いったいどんな見るかいがあるからといって、昼寝などするのだろう。夜などは姿も見えず、また、おしなべて皆が寝るものなので、自分は醜いからといって起きているべきではないだろう。そうして朝は早く起きるのが無難というものだ。夏、昼寝した寝起きの姿は、美しい人なら少しは風情があるものだが、かたち(いい加減な容姿)では、顔がてらてらと寝腫れて、悪くすると頬がゆがむこともある。そんな姿を互いに見かわした時の生きるかいのなさといったら」夏の昼寝が似あうのは美人だけ。“かたち”という強烈な表現で、並の容姿及びそれ以下の人は、男女を問わず、昼寝をするな、見苦しい、と清少納言は言う。これに対抗したと思しき印象的な昼寝の描写が、『源氏物語』を書いた紫式部の『紫式部日記』にはある。
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